前回に引き続き、必須科目Ⅰの勉強を進めていきます。
必須科目Ⅰの出題は以下の通りです。
まずはおさらいしておきましょう。
(1)技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2) 前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) 前間(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
では前回に引き続き、「社会資本整備メンテナンス」のテーマの下、上記の出題に対する解答文章を作成していきます。
問1
(1)課題の抽出については、インフラメンテナンスに関する課題を挙げていけばいいので、まずは思いつく限り書き出してみましょう。
その後に、再度問題文を確認してみてください。
「多面的な観点で」という文言がありますよね?
なので、書き出した課題の中から、異なる観点のものを3つ選び出す作業が必要になります。
選抜の結果、インフラメンテナンスのテーマだと課題としてはこんな感じです。
・官民連携:道路や橋梁などは国や自治体管理の構造物が多いので、官民が連携してメンテナンスしていくことが必要です
・メンテナンスの高度化:新技術等を用いてメンテナンスの質を高めたり効率化していくことが必要です
・インフラストックの適正化:既存のインフラを違う用途へ機能転換したり、撤廃することでメンテナンスの必要性自体を減少させることが必要です。
このような感じで、すごくアバウトな括りでいいので書き出してみてください。
問(1)ではアバウトな感じで留めておき、問(2)にてその課題をさらに細かく区分けしてそれぞれに対する解決策を挙げていくという感じです。
問2
次に、問(2)の書き方を考えていきます。
問(1)で3つの課題が出ていて、そのうち1つに対する解決策を書きます。
ここでは、複数の解決策が求められていることから、複数に分割できる課題を選びます。
例えば先ほど私が挙げた課題で言うと、官民の連携は技術的なアプローチが少ないので避けます。
インフラストックの適正化も、いくつか分割できますがそこまで広い視点で考えられない気がします。
よって、インフラメンテナンスの高度化を選択します。
メンテナンスの高度化とは
高度化というと、技術的な要素が強く、かつ様々な視点で語ることができそうですよね。
分からない方のために少し丁寧に解説しますね。
メンテナンスの高度化とは、効率化と言い換えると考えてもらってOKです。
例えば、高度経済成長期に大量整備したインフラたちを人材不足の中で更新していくためには、一人当たりの生産性を上げていかないといけませんよね?
つまり、業務を効率化して作業にあたる必要があります。
インフラメンテナンスの高度化は、デジタル化による必要人材の低減、新技術の導入による質の高い整備、そもそもメンテナンスする数を取捨選択すること、など色んな課題に分割できて、これらそれぞれに対する解決策を挙げていきます。
いくつか考えられることを順番に解説していきますね。
予防保全への転換
いまのインフラメンテナンス体制は、柱のひび割れや地震などによる倒壊など、不具合が発生してから修繕を行う「事後保全型」のインフラメンテナンスです。
でもこれだと、不具合が発生した時に大きなコストがかかりますし、不具合が発生するタイミングが読めないため工事発生の予測が立てにくく、人材の割り当てが困難です。
これを「予防保全型」のインフラメンテナンス体制へ転換することで解決することが図られています。
予防保全型のインフラメンテナンスとは、不具合が生じる前から定期的に検査を行なったり、軽微な修繕作業を実施していき、大きな不具合が発生する前から予防していくという考え方です。
こうすると、修繕時期はある程度幅を利かせられるため人員配置が容易で、かつ一回あたりの修繕コストも小さくなります。
特に同じ期間で見た時のトータルコストについて、事後保全型よりも予防保全型の方がトータルとしてコストが対策なると言われており、コストメリット、人員配置メリットともに大きい考え方です。
優先順位づけ
人材不足を背景として、既存のインフラストックを全てこれまで通りの機能を維持した形で残すことは不可能と考えられています。
そこで、構造物の重要度や劣化度に基づいて優先順位をつけて更新作業を行うことで、少しでも多くの公益確保が図られています。
ドローンなどの先端技術を利用した定期的な診断と、その結果をデータベース化して管理することで優先順位づけを行います。
そのほか、デジタル化や新技術の活用についても解決策として記載することができますが、記事が長くなってきたので、こちらについては次回引き続き整理していきたいと思います。
また、それ以外にも解決策は考えられると思いますので、ぜひ皆さまご自身にでも考えてみて頂くと、自分が書きやすい内容が見つかるはずです。
では次回もお楽しみに。
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